以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0343
「組」という漢字は、「糸」とは関係ない意味なのに、どうして部首が「糸へん」なのですか?
A
「組」という漢字を、「学級」「クラス」という意味で理解していると、たしかに「糸」とは関係なさそうです。しかし、この漢字はもともと、「くみひも」という意味なのです。
何本かの細い糸を組み合わせて編んで、1本の太い糸を作ることがあります。これを「くみひも」といいます。髪の毛を三つ編みにするイメージですね。「組」という漢字は、本来の意味はこの「くみひも」だったのです。
漢字の性質の1つに、ある名詞を表す漢字は、それを動詞に変化させた意味をたいてい持っている、というのがあります。「組」の場合もこれがあてはまって、「くみひも」という名詞の意味と同時に、「くみひもを作る」「ひもを編む」という動詞としての意味も持っているのです。そして、それがさらに変化して、「組み合わせて何かを作る」というような広い意味も持つようになったのです。
そうすると、「組み合わせてできあがったもの」という意味まで出てくるのは、ほとんど必然のように思われます。ただし、多くの漢和辞典は、この意味は日本独自の用法だと指摘しています。また、「人と人とを組み合わせてできあがったもの」つまり「仲間」とか「学級」とかいう意味も、日本人がオリジナルに作り出した意味のようです。
現在、学校の中で何気なく使われている「組」という漢字にも、長い期間にわたる意味の変化の歴史があるのです。