当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0147
「札」という漢字は、どうして「木」と「乙」で「ふだ」という意味になるのですか?

A

この漢字の右側の部分は、おっしゃる通り、「乙」が変形したものだと言われています。しかし、ではこの部分が何を表すのかということになりますと、定説がないようです。
何冊かの漢和辞典を調べてみたところを列挙してみますと、この部分は彫刻刀の形で、彫刻刀で削り取った小さな木が「ふだ」なのだ、というのが1つ。そうではなくて、もともとこの部分が「ふだ」の象形で、木であることをはっきりさせるため、後に「木へん」がついたという説もあります。また、この部分はピンのようなものを表す漢字で、ピンで止める木片という意味から「ふだ」という意味になったのだ、という説もありました。
いつも同じことを申し上げるようで恐縮なのですが、このように、漢字の字源にはいろいろな説が並び立っていることが多いのです。特に、シンプルな字形をしているほど、字源もいろいろあることが多いようです。数千字から1万字程度を収録した漢和辞典であれば、たいてい、各漢字について、字源に関する解説を載せています。字源に興味がある方は、その部分を拾い読みしたり、比較してみたりすると、おもしろいと思いますよ。
もっとも、「札」の右側の部分が「乙」の変形であることをご存知だった質問者の方には、釈迦に説法だったかもしれませんが……。

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