当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0090
レトルトカレーで、「口」へんに「加」、「口」へんに「厘」の2文字で「カレー」と読ませているもののがあるのですが、この「口」へんに「厘」という字が漢和辞典に載っていません。どういう字ですか?

A

009001見たことありますよ、そのカレー。スーパーで見かけて、気になってはいたんです。ハウス食品のカレーですよね。
問題の字を『大漢和辞典』で調べると、英語の穀物を量る単位grain(グレイン。0.0648グラム)の当て字だと書いてあります。グレインのグが聞こえなくて、レインの部分を、「厘」という字で表したものかと思われます。
しかし、中日辞典を調べてみると、もう少し違う記述があります。中国語では、ご質問にある2文字の組み合わせでカレーのことを表す、というのです。なんのことはない、このレトルトカレーは、カレーのことを中国語で書いていた、ということになりそうです。
漢字の世界では、「口」へんを使って、外国語の音訳語を表すことがあります。代表的なものは「噸」(トン)。重量の単位トンの音訳字ですが、「頓」が音を表し、「口」が音訳字であることを表しています。これは近代の例ですが、そんなに新しくなくても、たとえばチベット仏教のラマ教を「喇嘛教」などと表記するのも、同様の原理だと思われます。意味を表す部分と音を表す部分を組み合わせるという、伝統的な形声文字の方法に従って、新しく漢字が作られた例です。
話を戻して、ハウス食品のこのカレー。どうしてわざわざ漢字で、しかも中国語で書いてあるんでしょうかね。中華風のスパイスでも入っているんでしょうか?そのうち、試食して確かめてみたいところです。

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