当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0501
私の住んでいる町の山車の額に書かれている「仲」という文字には、「中」の縦棒の右下に「二」の字が付け足されています。これにはどんな意味があるのでしょうか?

A

050101このご質問には写真が添付されていましたので、まずはそれを見てみましょう。この文字からすると、なかなか雰囲気があって、由緒がありそうな山車ですね。
さて、問題の「おひれ」が付いた「中」ですが、漢字の歴史をさかのぼっていくと、意外や意外、似たような「中」はけっこう見つかるのです。最も古い漢字とされている甲骨文字や、その次に古いとされている金文(きんぶん)などでは、おひれ付きの「中」がむしろふつうなぐらいです。
050102その代表的なものをいくつか、図に示しておきますが、これは、軍旗が風にはためいているようすを表した象形文字だとされています。軍旗がはためくのは軍隊の真ん中だ、というわけで、「なか」の意味になったというのが、一般的な説明です。
050103小社『大漢和辞典』にも、これらの系統を引く図のような「中」の異体字が、収録されています。おそらく、ご質問の「仲」は、これらに基づいているのでしょう。
この「おひれ」は、現在ではもちろん装飾的な意味合いで書かれているわけですが、本来は軍旗はためくさまだったことを思い起こすと、この山車、さらに風格が増してくるように感じられるのではないでしょうか。

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