以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0463
住民票を見たら、自分の名前の「藤」の字が、なんか微妙に違ってました! 「藤」にも旧字体があるんですか?
A
『大漢和辞典』で「藤」を探すと、図のような漢字が正字だとして載っています。これが、「藤」の旧字体で、私たちが日ごろから使っている「藤」との違いは、赤で○を付けた4個所です。
4個所とはいいつつ、「八」のような点は2つで1組ですから、実質3個所の違いです。ただ、現実には、この3個所がいろいろと組み合わさって、たとえば「草かんむり」はそのままだけど「月」の部分は旧字体で「八」は新字体とか、「草かんむり」は旧字体で「月」はそのままだけど「八」は旧字体とか、さまざまな異体字を生む可能性があるでしょう。
それだけではありません。この字は、時には図のような異体字を生み出すこともあります。「滕」の右半分が「泰」と書かれるケースですが、このようにして、「藤」の異体字はどんどんバリエーション豊かになっていくのです。
質問をくださった方の住民票が、実際にどんなふうに「微妙に違って」いたのかは存じ上げませんが、ご紹介したのは、ほんの一例。現実とは、予想をはるかに上回って、いろいろなことが起こるものなのです。