当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0460
イカを漢字で書くと、「烏賊」の他、「魚」へんに何かを書く漢字があるそうですが、その2つはどう違うのですか?

A

何ははともあれ、まずはその「魚」へんに何かを書くってヤツを突き止める必要がありますね。早速、小社『大漢和辞典』の「字訓索引」を調べてみると、「魚」へんに「即」を書く漢字が見つかりました。
046001そこで本文を見ると、この漢字には確かに「いか」という意味があるのですが、詳しい説明はなく、「魚」へんに「則」と書く漢字と同じだ、と書いてありました。そこで、そちらの方の本文をお見せしておきましょう。
これで見ると、まず最初に「烏」にこの字を書いた2字でイカなのだ、と書いてあります。そして、後の方には「通じて賊に作る」とも書いてあります。これは、発音が同じなので「賊」と書くこともある、という意味です。
あらあらあら。「魚」へんに何とか、を探してスタートしたのに、結局は「烏賊」に行き着いてしまいました。どうやら、「烏賊」と書いても、「魚」へんに「即」だとか「則」だとか書いても、意味的には違わないようです。おそらく、ウソクとかウゾクだとかいう、イカを意味する単語が先にあって、それに漢字を当てたのが、これらの漢字の由来なのでしょう。
ところで、『大漢和辞典』の「烏賊(ウゾク)」の項には、ちょっとおもしろい話が載っています。口語訳しておきましょう。

イカはいつも水の上に浮かんでいて死んだふりをしている。それをカラスが見つけてくちばしでくわえようとすると、とたんに巻き付いてカラスを捕まえてしまう。それで「烏賊」と言うのだ……。

『南越志』なる本からの引用ですが、いかにも眉唾っぽいですねえ。でも、こういうお話まで載せてくれている『大漢和辞典』は、本当におもしろい本だと、私は思いますよ。

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