以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0456
「隆」の「生」の部分が、「三」に縦棒が突き抜けたような形になっている字を見かけたのですが、これはどういう漢字ですか?
A
明朝体で表現するとすれば、図のようになるのでしょうか?
これはおそらく、「隆」の異体字だと考えて問題ないと思われます。漢字の字形というのは、昔はほんとうにさまざまだったようで、「隆」についても、ちょっと調べてみただけでも、いろいろな字形が見つかります。それらのうちのいくつかを、ちょっとお見せしてみましょう。
これらは、柏書房の『異体字解読字典』に載っているものですが、「ノ」がないものやら、「土」2つになったもの、「生」の上に何やら十字架を背負ったものもあれば、限りなく「金」に近くなってしまったものまで、いろいろです。ご質問の漢字も、こういったバリエーションの中の1つなのでしょう。
日本に「活字」文化が根を下ろし始めるのは、明治になってからのこと。それ以前の手書きの時代には、漢字の形は、実にさまざまだったのです。その「いい加減さ」がよいのかどうか?これは、好みの問題ですね。