以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0377
「橋」の右上、「呑」の部分が「有」となっている漢字を見つけたのですが、なんと読むのですか?
A
それは、図のような字ではありませんか?これは、柏書房の『異体字解読字典』から拝借したものですが、ご質問の漢字がこれだとすれば、「橋」の異体字です。
「橋」という漢字には、「呑」という部分が「右」という形になった異体字があります。ご質問の漢字は、それがさらに変化したものでしょう。「右」の「口」を構成する4本の棒をそれぞれ別々に書いたところから、「有」に似た形になった漢字だと思われます。この2種類の異体字は、古文書や石碑などで比較的よく見かける漢字です。
次の図は、何を隠そう小社『大漢和辞典』(修訂第2版)の背文字の一部、諸橋轍次博士の「橋」の字です。ご覧のとおり、「呑」の部分が「右」になっていますよね。これを揮毫なさったのは博士ではありませんが、博士ご自身も、ふだんからこの異体字をお使いになることが多かったようです。
だからなのかどうなのか知りませんが、『大漢和』はこの「右」の方の異体字は、きちんと収録しています。ただし、ご質問にあった「有」に似た形になった異体字の方は、残念ながら収録していません。