当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0044
電子辞書で「葛」の字を引いてみると、下の「勹」の中にカタカナの「ヒ」のようなものが入っています。そこは正しくは「人」のようなものが入るべきだと思うのですが、間違いではないのでしょうか?

A

004401たしかにおっしゃる通りです。「葛」の字は、本来は図のような字体が正しいのです。では、私たちが今使っている「葛」とはなんなのでしょうか?これは、そのスジの人たちの間では「JIS字体」と呼ばれているものです。
コンピュータで扱う漢字を定めたJIS漢字のうち、それまで一般の印刷に使用されていた字体と違う字体のことを「JIS字体」と呼んでいるのですが、「葛」もそのうちの1つです。コンピュータの世界では原則としてこの「JIS字体」が使われていますが、辞典を中心とした印刷物の世界では、組版システムの関係などから、それまで通りの字体が正式の字体として使われ続けてきました。そこで、これらの字に関しては、2つの字体が並立している、というわけです。
こういった「字体の混乱」を解決するため、国語審議会で検討が行われ、2000年12月、「表外漢字字体表」という答申が出されたことは、ご記憶の方も多いでしょう。この答申によれば、手書きではなく印刷する場合には、「葛」ではなく本来の正しい字体を用いるのを標準とする、としています。
その後、「表外漢字字体表」を受けて、JIS漢字も2004年にこの方向で改定されました。実際のパソコンにそれが反映されるにはしばらく時間がかかるようですが、「字体の混乱」が近い将来、鎮静化することが期待されますね。
ちなみに、小社のデジタル版漢和辞典「デジタル漢語林7000」「新漢語林デジタル版」では、この字体をちゃんと表示するようにしてあります。この2つは、現在、セイコーインスツル株式会社の電子辞書に搭載されています。

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