当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0072
部首のうち、一番所属文字が多いのは何ですか?

A

「漢字文化資料館」を開館する前から、このご質問はときどきいただいたことがありました。そのころには、ちゃんとした根拠もなしに「たぶん○○じゃないですかねえ」などとお答えしていたのですが、「資料館」と名のつく以上、そんな感じではすまされません。そこで今回は、『大漢和辞典』所収の50,305字の所属部首をきちんと調べてみることにしました。すると、ベスト10は、以下の通りになりました。
1位艸(くさかんむり)2173字2位水(みず・さんずい)1816字3位木(き・きへん)1617字4位口(くち・くちへん)1475字5位手(て・てへん)1322字6位心(こころ・したごころ・りっしんべん)1274字7位虫(むし・むしへん)1181字8位竹(たけ・たけかんむり)1025字9位人(ひと・にんべん・ひとやね)1008字9位言(いう・ごんべん)1008字このたび、『大漢和辞典』の部首214種の栄えある頂点に立ったのは、「くさかんむり」でした。まあ、下馬評どおりといえましょう。第2位は、「みず・さんずい」。唯一、2巻にまたがって収録されている部首でもあります。3位には「き・きへん」。自然に関係する部首がベスト3を独占、ということになります。
この結果は、あくまで『大漢和辞典』の集計結果です。漢和辞典によって、部首の立て方が違うこともありますし、ある漢字をどの部首に配属するかについて異論のある場合もあります。たとえば最近の漢和辞典では、「みず」と「さんずい」は分離してあるケースが多くあります。それに従えば、「さんずい」は「き・きへん」よりも数が少なくなるかもしれません。
ただし、この結果を見る限り、そのような漢和辞典による違いや、『大漢和辞典』に収録されていない漢字を勘案しても、「くさかんむり」の首位は動かないのではないでしょうか。「漢字文化資料館」としては、「くさかんむり」に「部首の王様」の称号を贈りたいと思います。

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