以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0071
知り合いの名字で、「角」の真ん中の縦棒が下に突き出ている方がいらっしゃるのですが、この漢字をパソコンで入力したり打ち出したりすることはできないのでしょうか?
A
よくいらっしゃいますよね、この漢字を名字に使っていらっしゃる方は。でも、この漢字はJIS漢字の第1・第2水準には含まれていませんし、Q0070のようにユニコードに含まれている、というわけでもありません。パソコンで扱いたいとなると、ちょっと困ってしまいます。
どうしても、ということになれば、外字として登録するしかありません。自分で作って登録もできるのですが、その方法はいろいろと面倒です。世間には、人名などによく使われる外字をパッケージにしたフォントが商品として出回っていますから、それをお買い求めになるのがよいかと思います。私の知っているところでは、イースト株式会社の「人名外字1500」というパッケージには、問題の漢字が入っています。
ところでこの漢字、いわゆる俗字という分類のされ方をしてしまうのですが、調べてみると由緒正しい漢字です。例によって角川書店の『書道大字典』によれば、隋(ずい)や唐といった王朝のころの石碑では、ほどんどがこの字体で、私たちが一般に用いている「角」という字体の方が珍しいくらいです。この字体を名字に使っていらっしゃる方々の名誉のために、そのうちの1つを、図として掲げておきます。