以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0513
辞典を見ると、たとえば「諒解」は「了解」に書き換える、などと書いてあることがありますが、この「書き換え」とは何ですか?
A
これは、1956(昭和31)年に国語審議会が文部大臣に報告した「『同音の漢字による書きかえ』について」という文書に基づいたものです。この文書の前文には、次のようにあります。
当用漢字の使用を円滑にするため、当用漢字表以外の漢字を含んで構成されている漢語を処理する方法の一つとして、表中同音の別の漢字に書きかえることが考えられる。ここには、その書きかえが妥当であると認め、広く社会に用いられることを希望するものを示した。
つまり、「諒解」の「諒」は当用漢字ではないので、代わりに音読みが同じ「了」を使って「了解」と書きましょう、ということです。この文書に挙げられた他の例をいくつか拾ってみると、たとえば「愛慾(あいよく)」は「愛欲」に、「讃美(さんび)」は「賛美」に、「日蝕(にっしょく)」は「日食」に、「編輯(へんしゅう)」は「編集」にといった具合です。
この文書は、国語審議会の単なる報告書にすぎないのですが、辞書をはじめ、新聞や雑誌など、広く一般に参照されてきました。ことの是非はともかくとして、報告から半世紀以上が過ぎた現在では、ほとんどの「書きかえ」が市民権を得ているのが実態です。