以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0421
「うちの会社」「うちの社長」とか「うちのやつ」の「うち」は、漢字で書くとすれば、「内」「家」のどちらでしょうか?
A
語源的には、「内」でしょう。こういった場合の「うち」は、「身内」の「内」と同じで、自分の生活を内と外との2つに分けた場合の内の部分のことを表していると思われます。そこから、自分の家や家族、所属する組織のことなどを表すようになったのでしょう。
ただ、自分の家のことを表す「うち」を、漢字で「家」と書くことは、少しもおかしなことではありません。訓読みとは、その漢字が中国語として表す意味を日本語に置き換えたものです。ということは、逆に考えれば、ある日本語を漢字で書き表したい場合、そのことばと同じ意味を持つ漢字であれば、なんだって使えるはずです。実際、パソコンで「うち」と入力して変換すれば、たいていの場合、「家」が候補として出てくることでしょう。
とはいえ、それはあくまで、「うち」を「自分の家」という意味で使っている場合のことです。小社の経営者一族でもなんでもない私としては、とてもじゃありませんが、「家(うち)の会社」「家(うち)の社長」なんて書けません!日本語変換をパソコンに任せっきりにしていると、ひょんなことからクビにならないとも限りません。こういう場合は、ひらがなで書いておく方がよさそうです。
もっとも、別の意味で、「家(うち)のやつ」なんてなかなか書けないのも、また事実なのですが……。