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漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0350
「首長」と書いて「くびちょう」と読むことはありますか? テレビでそう発音している人を見かけたのですが……。

A

「首長」ということばは、一般には、都道府県の知事や、市町村・特別区の長を指して使われています。発音はもちろんシュチョウです。シュは「首」の音読み、チョウは「長」の音読みですから、この熟語は、たいていの熟語と同様に、2文字とも音読みで発音されるのです。
ところが調べてみると、お役所用語では、このうちの「首」だけを訓読みにして「くびチョウ」と発音することもあるようなのです。訓読みと音読みを混ぜた、いわゆる湯桶(ゆとう)読みという読み方ですが、意味はシュチョウと読むときと変わりません。では、なぜこのような変則的な読み方がされるのでしょうか。
それは、「市長(シチョウ)」と紛らわしいからだと言われています。漢字熟語には同音異義語が多いので、このように似た発音のことばを区別するために、熟語を変則的に発音することがあるのです。
たとえば、「私立」と「市立」が紛らわしいので、「わたくしリツ」「いちリツ」と読み分けることがあります。また、「化学」と「科学」が紛らわしいので、「化学」の方を「ばけガク」と呼んだりすることもあります。「首長」を「くびチョウ」と読むのも、同じような原理なのでしょう。
ただし、「首長」の場合、紛らわしいのは「市長」ではなくて「首相(シュショウ)」だ、という説もあります。県知事さんからすると、市長に間違えられるのはいやでも、首相に間違えられるのは案外悪い気はしないのではないか、などと思ってしまうのですが、そうでもないのでしょうか。
ついでに申し上げておくと、自らのボスを「くびチョウ」と呼んでいるお役所の人たちは、それが「くみチョウ」と間違えられかねないことには、思いが至らないのでしょうかねえ。

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