以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0308
「麺がかたい」の「かたい」は「固い」「堅い」「硬い」のどれが正しいのでしょうか?
A
訓読みが同じ漢字の使い分けを見分けるのには、大きく分けて2つの方法があります。1つは、その漢字が本来持っている意味から考える方法です。この場合は、漢字の成り立ちに関する知識が役に立ちます。もう1つは、その漢字を含む熟語から推測する方法です。
ところが「かたい」の場合は、このどちらを用いても、納得のいく答えは得られないのです。成り立ちに着目して、「堅い」は土に関係する「かたさ」で、「硬い」は石に関係する「かたさ」だと理解しても、その違いははっきりしません。熟語に着目する方法も、「堅固(けんご)」なんていう熟語もあって、すっきりとはいかないのです。
そこで「かたい」の場合、その使い分けは次のように説明されています。
固い「ゆるい」の反対語。
堅い「もろい」の反対語。
硬い「やわらかい」の反対語。
このように考えると、「麺がかたい」の反対は「麺がやわらかい」ですから、この場合は「硬い」を用いるのがよさそうだ、ということになります。わかりやすいですよね。
でも、このように考えないとすっきりとしないということは、これらの漢字の使い分けは、漢字本来の意味に根ざしたものではないように思われます。日本語の中での慣習的な使い分けであると考えておいた方が、よさそうです。