以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0263
たとえば「花」の「化」の部分は、「あし」と呼んでいいのですか?
A
むつかしいですよね、このご質問。以前Q0158でも同様の主旨のご質問を扱ったことがあるのですが、いま読み返してみて、うまく説明できてはいない感じがします。そこで改めて、ご説明したいと思います。
一般に、「へん」「つくり」「かんむり」「あし」などと呼ばれているのは、部首の種類の名前です。部首のうち、漢字の左半分に置かれるものを「へん」、右半分に置かれるものを「つくり」、上半分は「かんむり」、下半分は「あし」と呼ぶのです。つまり、「あし」と呼ばれるためには、それ以前に部首である必要があるのです。
「花」の部首は、言うまでもなく「くさかんむり」ですから、「化」は部首ではありません。そこで、「あし」であるかどうかという問題について、部首でない「化」はそもそもお呼びでないのです。
説明がここで終われば、われながら、今回はうまくいった、という感じがするのですが、そうは問屋が卸しません。というのは、部首であるかないかにかかわらず、漢字の左半分を「へん」と言ったり、右半分を「つくり」と言ったりすることもあるからです。
たとえば、漢字を説明するときに、「木へんに、「温」のつくりを書く字」というような説明の仕方をした経験は、だれもがお持ちでしょう。この場合、「温」の部首は「さんずい」ですから、「「温」のつくり」という言い方はおかしいはずなのです。でも、こういう言い方は存在するのです。
これは、「拡大解釈」と理解しておけばいいでしょう。「へん」「つくり」といった呼び方は、原則として部首についてのみ言うのですが、ときには拡大解釈されることもある、というわけです。
ナットクしていただけましたでしょうか?