以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0183
左上に「口」、右上に「人」、その下に「土」と書く漢字がありました。なんと読むのでしょうか?
A
これは、「坐」という字の異体字です。音読みはザ、意味としては「すわる」という意味で、「座」とほぼ同じです。
例によって『書道大字典』(角川書店)を調べると、図のように、この字形のほかに、両方の「人」が「口」になっているものを見いだすこともできます。「口」という形が人間を表す例は他にもありますから、後者の字形は、それほど驚くほどのものではありません。むしろ、片方だけが「口」になっている字形の方が不思議ですが、その理由は、よくわかりません。
よくわからないものの、片方だけ「口」になっている字形は意外とポピュラーで、現在でも、身近で見つけることができます。たとえば、明治製菓のレトルトカレー「銀座カレー」の「座」の字は、「广」とこの字から成っています。なにゆえにそんな字を選んだのか、その理由を担当者にお聞きしてみたい気もしますが、そんなことより気になるのは味の方、とおっしゃる方は、お近くのスーパーまで、さあ、お出かけください。