以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0152
カンリと読む熟語には、「管理」「菅理」「監理」「官吏」などがあるようですが、それぞれどう違うのですか?
A
まず、「官吏」というのは、これはお役人さんのことです。それから、「菅理」というのは、私もびっくりしたのですが、インターネットで検索すると、結構ヒットすることばです。でも、やっぱり「管理」の誤植だと思います。
ややこしいのは、「管理」と「監理」の違いでしょう。国語辞典を調べてみると、「監理」の方に、「監督し管理すること」などと書いてあります。ここからすると「管理」の方が意味が広く、それに「監督する」が付け加わって狭い意味になったものが「監理」ではないかと思われます。
しかし、これだけでは納得したような、納得しないような感じですよね。しかも、いくつかの国語辞典を調べてみたのですが、「監理」の用例として挙がっているのはどれも判を押したように「電波監理局」。1つしか用例がないのでは、すっきりする説明はなかなか得られません。
そこで視点を変えて、「管」と「監」の意味の違いを考えてみることにしましょう。「管」は基本的には「くだ」という意味の漢字で、「管理」「管制」「管掌」のような用い方は、派生的に生まれてきたもののようです。そのあたりの事情ははっきりしませんが、「管」という字そのものに、「管理」につながるような強いイメージはありません。
一方「監」は、古い字形では図のような形をしていて、これは、お皿に張った水を上から人がのぞき込んでいる形だと言われています。そこから、この字には「しっかり見る」という意味が生まれてきました。「監理」との関係からいくと、しっかりそばで見張っている、という強いイメージがあるように思います。
この「管」と「監」のイメージの違いが、「管理」と「監理」にも反映しているのではないでしょうか。そのため、「監理」の方がより狭く、強いイメージを持っているのだと思われます。まあ、こんなことを言ったって、やっぱりすっきりした説明にはなりませんが……。