以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0143
「企」という漢字は、人が足で起立している形だと辞典に書いてあったのですが、これがどうして「くわだてる」という意味になるのでしょうか?
A
「企」という漢字は、「人」と「止」からできています。そして、「止」というのは、もともと人間の足の形を表した漢字ですので、おっしゃるとおり、「企」は、人が足で立っている姿を表したものだ、と言われています。ただ、その立ち方についてはいくつか説があるようで、足を伸ばして立つのだとか、つま先立ちで立つのだとか、言われているようです。
問題は、立って何をするのか、ということです。この点に関しては、ありがたいことに諸説が一致しているようで、足を伸ばそうが、つま先立ちだろうが、遠くを見ようとしているのだ、というのです。つまり、背伸びをしていると考えればよさそうです。
人間、遠くを見ていると、いろいろなことを考えるものです。中国古代の人々は、遠くを見ながら、「いっちょ、なんかしてやろう」と思ったようです。そういうわけで、「企」という字が、「くわだてる」という意味になったのだと、説明されています。こういうふうに、元になる2つの漢字の意味を組み合わせて、新しい意味を持つ漢字を生み出すことを、会意(かいい)と言います。
まったく、昔の人は見上げたもので、私のように、景色がきれいだなあ、としか思わないのは、小人物のようです。考えてみれば、「企業」も「企画」も、小人物ではなかなかうまくやっていけないものですよね。