ことばを知ることは、伝わる文章への第一歩
「しかし」と「だが」はどう違う? 「話」と「話し」はどちらを使えばいい? 「大きい猫の絵」、絵が大きいことをはっきりさせるには? 文章を書くときに役立つことばの使い方・選び方を、新聞社で校閲や用字用語辞典の編集に携わってきた著者が一から伝授。会話形式で気軽に読めて、語彙力も文章力もしっかり身に付く!
著者メッセージ
文章を書くときに欠かせないものはなんでしょう? 使いやすいペン? それよりも、パソコンの最新機種? だったらプリンターも欲しいな!……あったらすてきですが、なくても何とかなります。文章を生み出すためになくてはならないもの――それは「考え」です。
漠然としたイメージがバラバラに頭の中に浮かんだだけでは文章にはなりません。なぜそんなイメージが浮かぶのか、どんな意味があるのか、自分はどうしたらいいのかと考えたとき、そうしたイメージや感覚、状態などを表す言葉が湧き出てきて、言葉と言葉とがつながり、文章の形になっていきます。
空に浮かんだ雲をぼうっと眺めていても、文章は出てきません(そんな時間も大切ですけれどね)。「あの雲はどこまでゆくんだろう」といった「考え」の芽生えとともに、文章はつづられるのです。
別の見方をすれば、私たちは言葉・文章を使って考えているのだとも言えます。ややこしくこんがらかった状況を打開するには、まずは適切な表現で文章化してみてはどうでしょう。文章にまとめることで「考え」が明確になります。人にもうまく伝えられるはずです。書くことは考えること、考えることは書くことなのです。
(「あとがき」より)
主要目次
LESSON1 正確で分かりやすく
#読み手 #書き手 #芸術的文章 #実用的文章 #正確さ #分かりやすさ
LESSON2 漢字の役目、仮名の働き
#漢字 #常用漢字 #広場の漢字 #仮名 #ひらがな #カタカナ
LESSON3 表記・記号のきまり
#仮名遣い #現代仮名遣い #歴史的仮名遣い #送り仮名 #句点 #カギカッコ
LESSON4 同じ読みの言葉に気をつけて
#同音異義語 #異表記 #異字同訓
LESSON5 意味の似ている言葉
#類語 #類義語 #品格のある言葉
LESSON6 和語・漢語・外来語
#和語 #漢語 #外来語 #語彙 #カタカナ語
LESSON7 「書く」と「話す」の違い
#話し言葉 #書き言葉 #ら抜き言葉 #重言 #打ち言葉
LESSON8 慣用句を使いこなそう
#慣用句 #慣用句の形 #慣用句の意味
LESSON9 言葉は変化する
#言葉の変化 #伝統性 #広範性 #合理性
LESSON10 敬語は役に立つ?
#敬語 #尊敬語 #謙譲語 #丁寧語
LESSON11 「何が」と「どうした」のつなぎ方
#段落 #文体 #主語 #述語 #文の長さ
LESSON12 つなぎの言葉でつないでいこう
#接続表現 #順接 #逆接 #指示語 #助詞
LESSON13 どちらにもとれる文
#曖昧な文 #読点 #語順 #修飾
LESSON14 言葉遣いは心遣い
#役割語 #配慮 #ふさわしさ
〔落語で日本語〕
一 コンセントは抜けない!?
二 二つ返事は1度だけ
三 「1日おき」は「48時間おき」!?
四 「ない」+「ない」=「ある」!
五 上から読んでも、下から読んでも。
あとがき
参考サイト一覧
索引
著者紹介
関根健一(せきね・けんいち)
1957年生まれ。同志社大学法学部、立教大学文学部卒業。日本新聞協会用語専門委員。元読売新聞東京本社編集委員。元文化審議会国語分科会委員。大東文化大学非常勤講師。著書に『なぜなに日本語』『なぜなに日本語 もっと』(以上、三省堂)、『ちびまる子ちゃんの似たもの漢字使い分け教室』『ちびまる子ちゃんの敬語教室』『ちびまる子ちゃんの春夏秋冬教室』(以上、集英社)、『シリーズ〈日本語の語彙〉7 現代の語彙-男女平等の時代-』(共著、朝倉書店)、『外来語研究の新展開』(共著、おうふう)、『マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典』(共著、三省堂)など。『明鏡国語辞典 第三版』(大修館書店)編集・執筆協力者。
*著者紹介の情報は書籍刊行時のものです。