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新刊特集

新刊紹介

『漢詩酔談―酒を語り、詩に酔う』

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漢詩酔談

 

軽妙な訳と楽しいおしゃべりで味わう、飲酒詩30首

一杯 一杯 また一杯──酒を愛した中国の詩人たちは数多い。李白、杜甫、そしてもちろん陶淵明……酒を詠んだ漢詩30首を厳選してうんちくを傾ける、ほろ酔い加減のおしゃべり集。漢詩を新しい視点から味わいたい方にも、酒を飲みながら気軽に漢詩を楽しみたい方にも、ぴったりの一冊。

著者によるアフタートーク

串田 お疲れさまでした。
諸田 お疲れさまでした。でも、けっこう心地よい疲れです。
串田 お酒が入っていますから(笑)。
諸田 それもそうですが、話がはずみましたし。
串田 脱線も多かったと思いますが。
諸田 それが対談の醍醐味ですよ。
串田 確かに。ひとりで原稿を作っているのと違って、対談は連鎖反応というか、思いもつかなかったことが次々出てきます。
諸田 中国文学と中国思想、お互い分野が違うことも話題が広がってよかったです。
串田 それにしても、酒を詠んだ漢詩の多いこと、びっくりです。
諸田 ええ、私も今さらながら驚いています。
串田 今回紹介できたのは30首、ほんの一部でした。
諸田 30首を5章立てにしましたが、元々この対談は雑誌「酒文化」で連載していたもので……。
串田 3章「あこがれの陶淵明」と4章「漢詩歳時記」は、連載している中で思いついたテーマでしたね。
諸田 これらのテーマでは、漢詩が日本にもたらした影響にも言及できました。
串田 それで思い出したのですが、最近、連載の「漢詩酔談」のファンという方から、句集を贈っていただきまして……。
諸田 『忘憂目録』でしょ? 私もいただきました。
串田 私、俳句は高校の国語でしかやらなかったので、この句集には衝撃を受けました。
諸田 社会や政治を痛烈に批判した俳句で、私は漢詩の世界のように感じました。
串田 ええ、同感です。それにお酒を飲みながら俳句なんて……。
諸田 「俳句は酒じゃなくてお茶でしょ!」ってね(笑)。
串田 作者は、若いころから漢詩が好きだったようです。
諸田 「忘憂(憂いを忘る)」がタイトルなんで、すぐにわかりました。
串田 酒は「忘憂の物」──陶淵明の「飲酒 其の七」ですね。
諸田 陶淵明が好きで酒も大好きな俳人といえば……。
串田 そう、蕪村!
諸田 「冬日田園雑興」(179頁)でも話題にのぼりました。
串田 「帰去来の辞」にちなんで「蕪村」と号するほど、陶淵明にあこがれたんでしたね。李白や杜甫にとっても、陶淵明はもちろんあこがれの人でした。
諸田 今回、「あこがれの陶淵明」では7首とりあげましたが、まだまだある。
串田 蘇東坡が、陶淵明のほとんどすべての詩に唱和していたというのも、今回、初めて知りました。
諸田 陶淵明ファンの筆頭ですね。白楽天も陶淵明のことが大好きでした。
串田 ところで、酒を詠んだ漢詩がどうしてこれほど多いのかについては、どうお考えですか?
諸田 それは、本書を読んで、感じ取っていただきましょう(笑)。
串田 では、最後に、今回の30首で最もお気に入りの詩を挙げるとすると……。
諸田 「ベンツでクラブに乗りつけて……」(40頁「長安道」)です!
串田 井伏に対抗して、ダンディーを演じましたもんね(笑)。私は……。
諸田 「朝酒」(22頁「卯時の酒」)でしょ?
串田 わかります?
諸田 だって、「私のお気に入り」って言ってましたよ。
串田 そうでした(笑)。
諸田 読者のみなさんが、それぞれ「私のお気に入り」をみつけてくださったら嬉しいですね。
串田 では、しばらくしてからアンケートでもとりましょうか?
諸田 それ、面白そうですね!
串田 コラムの「おつまみ」も楽しいし。
諸田 お酒の写真も、いっぱい載せることができました。
串田 お酒を飲む人はもちろん、飲まない人も、まずは対談と漢詩をお楽しみいただきましょう。
諸田 漢詩の日本語訳も、ぜひ楽しんでいただきたいです。
串田 これまでにはない味わいがありますからね。
諸田 そこまで言います?
串田 自画自賛です(笑)。

主要目次

一 宴のはじまり
和楽―おもてなしの心:「鹿鳴」詩経
◆おつまみ ①儀狄と杜康

二 酒のよろこび
今を楽しむ―中国的快楽主義 :「西門行」漢代楽府
酔っぱらってこそ:「酔中の作」張説
朝酒の効用:「卯時の酒」白楽天
妻への詫び状 :「内に贈る」李白
酒造り名人への挽歌:「戴老の酒店に題す」李白
ダンディズム:「長安道」儲光羲
悪酔い:「金山寺にて柳子玉と飲み大酔す」蘇東坡
上戸と下戸:「飲酒 其の十三」陶淵明
◆おつまみ ②白酒の醸造〈1〉

三 あこがれの陶淵明
酒の前ではみな平等:「山中にて幽人と対酌す」李白
三友―酒と琴と詩と:「北窓の三友」白楽天
老いらくの酒:「惜しむ可し」杜甫
虚飾を捨てる:「陶淵明」劉克荘
原点回帰:「戯れに鄭溧陽に贈る」李白
独酌もまた一興:「陶潜の体に効う詩 其の五」白楽天
空の杯を持ち歩く:「陶の飲酒に和す 其の一」蘇東坡
達人の飲酒:「飲酒 其の一」陶淵明
◆おつまみ ③白酒の醸造〈2〉

 四 漢詩歳時記
一月 お屠蘇:「元日」直江兼続
二月 春節:「元日」王安石
三月 春風に誘われて:「少年行」李白
四月 清明節:「清明」杜牧
五月 春爛漫:「江南の春」杜牧
六月 晴耕雨飲:「連雨独飲」陶淵明
七月 暑気払い:「暑中閑詠」蘇舜欽
八月 避暑山荘にて:「暑を山園に避く」王世貞
九月 重陽の節句:「九日 斉山に登高す」杜牧
十月 名月に乾杯!:「水調歌頭」蘇東坡
十一月 晩秋の酔貌:「酔中 紅葉に対す」白楽天
十二月 燗酒:「冬日田園雑興 その八」范成大
◆おつまみ ④紹興酒

 五 再会を期して
「サヨナラ」ダケガ人生?:「酒を勧む」于武陵
◆おつまみ ⑤汾酒と茅台酒

付録

 

 

著者紹介

串田久治(くしだ ひさはる)
1950年、大阪に生まれる。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程中退。桃山学院大学教授。専攻は中国哲学、中国社会思想史。大阪大学博士(文学)。著書に『王朝滅亡の予言歌』(大修館書店)、『中国古代の「謡」と「予言」』(創文社)、『儒教の知恵』(中公新書)、『漢詩の知恵』(共著、学研)など。

諸田龍美(もろた たつみ)
1965年、静岡に生まれる。九州大学大学院文学研究科博士後期課程退学。愛媛大学教授。専攻は中国古典文学。九州大学博士(文学)。著書に『白居易恋情文学論』(勉誠出版)、『中国文学講義』(共著、中国書店)、『漢詩の知恵』(共著、学研)など。

※著者紹介の情報は書籍刊行時のものです。

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