2015.12.9
『敬語だけじゃない敬語表現―心づかいと思いやりを伝える「丁寧さ」』
ISBN:978-4-469-22245-6
B5判・136頁
定価: 本体1,500円+ 税
2015年12月刊行
気づかい上手は、敬語上手への近道。
「取ってくれますか?」と「取ってもらえますか」は,どちらのほうが丁寧? 「仰る」「伺う」などの敬語を使わなくても、ちょっと表現を工夫して、相手への心づかいを伝えることで、「丁寧さ」は表せます。どう表現すれば丁寧になるのか、どんなしくみで丁寧になるのかを、わかりやすく解説。目上の人への依頼、後輩への指示、気になる人へのお誘い……多彩な場面で使える、表現のヒントを満載!
著者メッセージ
敬語によって丁寧さを加えたり、表現を丁寧にしたりすることは、日本語の大きな特色だといえるでしょう。敬語を学ぶことによって、相手に対する「敬い」、自分に関する「謙り」、表現における「改まり」といった意味での「丁寧さ」を表現することができるようになるでしょう。
しかし、さらに広い意味での「気遣い」や「思いやり」、「尊重」などといった観点で括られる「丁寧さ」を表す方法は、敬語によるものだけではありません。
この本では、このような、敬語ではなく表現の仕方によって表される丁寧さ(以下、「敬語によらない丁寧さ」と呼びます)がどのようなものなのか、その基本的な考え方について述べることにします。そして、「敬語によらない丁寧さ」によって、他者に配慮し、他者を尊重するとはどういうことなのかを明らかにし、それを目指すためのコミュニケーションの具体的なあり方を考えていきたいと思います。……(「はじめに」より)
主要目次
第Ⅰ部 「敬語によらない丁寧さ」
◎問い――より丁寧な表現はどちら?
◎答え――より丁寧な表現は……
1「取ってください。」と「取ってくれますか?」
2「取ってくれますか?」と「取ってもらえますか?」
3「取ってもらえますか?」と「取ってもらってもいいですか?」
4「帰らせてもらえますか?」と「帰らせてもらってもいいですか?」
5「帰ります。」と「帰らせてもらいます。」
6「取ってあげましょうか?」と「取りましょうか?」
第Ⅱ部 「丁寧さ」のしくみ
1.行動につながる表現
2.行動、決定権、利益・恩恵
(1)「今日は六時になったら帰ります。」【宣言をする表現】
(2)「これ、使ってもいいですね。」【確認をする表現】
(3)「荷物を運ぶの、手伝いましょうか?」【申し出をする表現】
(4)「それ、食べてもいいですか?」【許可を求める表現】
(5)「早めに薬を飲んだほうがいいですよ。」【勧め・助言をする表現】
(6)「それ、こっちに持ってきてください。」【指示・命令をする表現】
(7)「もう少しくわしく説明してくれますか?」【依頼をする表現】
(8)「それ、使ってもいいですよ。」【許可を与える表現】
(9)「花火、一緒に見に行きませんか?」【誘いをする表現】
3.丁寧さを決めるもの
4.「敬語によらない丁寧さ」の持つ意味
第Ⅲ部 「丁寧さ」を伝える表現の工夫
1.あたかも表現
2.表現の工夫(1)
3.表現の工夫(2)
著者紹介
蒲谷 宏(かばや ひろし)
早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は、日本語学、日本語教育学。現在、早稲田大学大学院日本語教育研究科教授。早稲田大学日本語教育研究センター所長、同大学院日本語教育研究科長、文化審議会国語分科会委員・敬語小委員会副主査、等を務める。
著書に、『敬語表現』(1998共著)、『敬語表現教育の方法』(2006共著)、『敬語表現ハンドブック』(2009共著)、『待遇コミュニケーション論』(2013)、『敬語マスター――まずはこれだけ 三つの基本』(2014)以上大修館書店、『大人の敬語コミュニケーション』(2007)筑摩書房、『敬語コミュニケーション』(2010共著)、『日本語教育学序説』(2012共著)以上朝倉書店、等。
※著者紹介の情報は書籍刊行時のものです。