なにげなく使っている漢語の意外な素顔
「丈夫」「姫」「人間」「出世」「分野」「都合」「助教」「小学」「粟」…日ごろ目にする、身近に使われている漢語に意外な意味があることも…。中国古典を縦横に引用しながらその由来や多様な使われかたなどを平易に解く。読めば新たな発見がある。五つのテーマで全百題収録。
著者メッセージ
たとえば、「今日は出張です」という場合、「今日」は「きょう(けふ)」と読めば和語で漢語ではないが、「こんじつ」あるいは「こんにち」と読めば『礼記』や『孟子』にも出てくる「中国製漢語」である。「出張」は「ではる」という和語に漢字を当てて音読みしたもので「和製漢語」となる。
(中略)
ともかく、漢字と漢語についてはいろいろと複雑なわけがあって、それを背景にした「漢語」にも複雑な事情がある。(「まえがき」より)
主要目次
ことばのイメージ……百、麒麟、夢、玉 など
年中行事・故事由来のことば……七夕、更衣、漱石、膾炙 など
中国古典・漢文独特のことば……字、諱、助字 など
意味の転じたことば……姫、丈夫、人間、都合、出世、勉強 など
ことばの使い分け……篇・編、貸・借、帛・棉・綿 など
著者紹介
岸田 知子(きしだ ともこ)
1947年、兵庫県生まれ。1975年、大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。 高野山大学教授等を経て、現在、中央大学教授。中国哲学・日本思想を専攻とする。著書に『懐徳堂とその人びと』(共著、大阪大学出版会)、『空海と中国文化』(大修館書店)、『漢学と洋学 伝統と新知識のはざまで』(大阪大学出版会)、論文に「王羲之と薬」「『篆隷萬象名義』の字義について」「懐徳堂知識人の老荘観」等がある。
※著者紹介は書籍刊行時の情報です。