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新刊特集

新刊紹介

『唐詩和訓――ひらがなで読む名詩100』

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ひらがな訳で味わう 珠玉の唐詩アンソロジー

 唐詩に美しいひらがな訳を添えたアンソロジー。漢詩の和訳というと、井伏鱒二の「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」(『厄除け詩集』)などが有名だが、本書では、すべての句をひらがなで、七七調で訳すという今までにない試みを行った。漢詩の整然としたリズムと、ひらがなのやわらかい響きを同時に味わうことができる。
 著者は、10年間の中国滞在歴のある横山悠太。2014年には、日本語と中国語を混在させた独特の文体の小説「吾輩ハ猫ニナル」で群像新人賞受賞、芥川賞にもノミネートされた経歴をもつ。日本文学、中国文学に造詣の深い著者が、杜甫・李白・白居易・韓愈の100首を選び、味わい深い和訳と鑑賞文を付した。
 漢詩と和訳をそれぞれ味わうだけでなく、書き下し文と比べたり、鑑賞文を読んでから再読したり、オリジナルの和訳を作ってみたり……。一冊で何通りも楽しめる、新しい詩集だ。

 

著者メッセージ

 日本人は漢詩を読むとき、それを書き下して読んできました。近代以降は、それを独自に読みなおす文学者も現れました。例えば土岐善麿、佐藤春夫、井伏鱒二などがそうです。彼らはそれぞれに持ちまえの詩才を発揮し、味わい深い訳詩をつくりました。この「唐詩和訓」はそういった彼らの仕事に触発され、生まれたものです。
 和訓は試行錯誤の末、七七調というリズムに落ち着きました。詩的リズムを保ちながらも、融通の利く形式なのではないかと思われます。また、和訓をひらがな表記にしたのは、和語のやわらかさを表現するとともに、原詩の見栄えを邪魔しないようにするためです。…すっと無理なく訳せたものもあれば、何度も推敲を重ねた上で完成に至ったものもあります。いずれにしても、この作業は実に楽しいものでした。

(「あとがき」より)

 

主要目次

はしがき

杜甫
李白
白居易
韓愈

詩題一覧

あとがき

 

著者紹介

横山悠太(よこやま ゆうた)

1981年、岡山県生まれ。作家、日本語教師。
2005年から2015年まで中国(深圳、上海、蘇州、北京)に滞在。
2014年、日本語と中国語を混在させた文体で書いた小説『吾輩ハ猫ニナル』(講談社)で群像新人文学賞を受賞。
2017年、日本語教科書の定番である『みんなの日本語』初級Ⅰ・Ⅱのスピンオフ読み物『小説ミラーさん』(スリーエーネットワーク)を出版。

*著者紹介の情報は書籍刊行時のものです。

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