当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0103
私は小学校の教師をしているのですが、生徒のご両親からよく「自分が子どものころと比べて、漢字の筆順が変わった」と言われます。筆順とは、変化するものなのですか?

A

現在、日本の学校教育において筆順を定めているのは、1958年に文部省著作として出版された『筆順指導の手びき』という書物、これ1冊だけです。したがって、オフィシャルな意味では、それ以前はともかく、それ以後、筆順の基準は変化していないはずです。
ただし、この『筆順指導の手びき』では、具体的に筆順が示されている漢字は、当時の教育漢字881字のみです。現在では、小学校で習うことになっている教育漢字は1006字に増えていますから、その差、125字については、具体的な基準はないことになります。しかし、『筆順指導の手びき』では「筆順の原則」が定められているので、それに従って敷衍すれば、そう大きな違いは生じないはずです。
むしろ、違いが生ずるとすれば、『筆順指導の手びき』で複数の筆順が示されている漢字に関してでしょう。この書物では、「特に注意すべき事項」として、「広く用いられる筆順が、2つ以上あるもの」を挙げています。たとえば「上」「止」などの「卜」の部分、「発」「登」の「癶」の部分、「祭」の「又」の部分、「必」などです。こういった漢字の筆順については、あるいは先生によって、教え方が違うことがあったかもしれません。
なお、『筆順指導の手びき』の「筆順の原則」は、筆順関連の辞典などによく収録されていますが、小社では、学習用漢和辞典『新漢語林』に付録として収録しています。ご参照ください。

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