当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0089
「耳」へんに「心」と書いて、どうして「はじ」という意味を表す漢字になるのですか?

A

「はじ」とか、「はずかしい」とかいうのは、気持ちに関係することばですから、その意味を表す漢字に「心」が付くのは、不思議でもなんでもありませんよね。気になっていらっしゃるのは、「耳」の方ではないかと推察いたします。
この漢字の成り立ちには、例によっていくつか説があります。1つは、「耳」は音を表しているだけという説。現代日本では「恥」の音読みはチ、「耳」はジですが、古代中国では、両者の音は共通していた、というのです。こういう成り立ちの漢字を形声文字といいます。
2つめは、その延長線上にある説で、たしかに「耳」は音読みを表しているのだけれど、意味としても「耳のようにやわらかく、心がやわらぎいじけてしまう」ということを表しているのだ、という説です。
3つめは、いやいや、「はずかしい」とまず「耳」が赤くなるから、それで「恥」と書くのだ、という説です。「耳」と「心」の意味がかけ合わさって、「恥」という漢字が生まれたというのです。ちなみに、こういう成り立ちの漢字を会意文字といいます。
いかがでしたか?どれかに納得がいきましたか?自分が一番気に入った説に従っておくのがよいと思いますよ。なに、どれも気に入らない?だとすれば、あなたが漢字学者になって、ご自分の説を打ち立ててみるなんてのは、いかがでしょうか。

  • facebookでシェア
  • twitterでシェア