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漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0258
学校で、「者」の4画目の斜めの棒は、1画目の横棒とくっついてはいけない、と習ったのですが、根拠はあるのでしょうか?

A

025801明朝体や教科書体の活字、あるいは手書きの漢字のお手本などを調べてみると、たしかに、問題の部分はくっついていないものがほとんどです。ですから、実例からすれば、先生のおっしゃることは「正しい」と言えます。しかし、これがたとえば「都」になると、活字ではほとんどのものが、問題の部分はくっついているのです。ここでは、またまた「当用漢字字体表」から、「者」と「都」の例を挙げておきます。なんだかここのところ、この表ばかり引用していて、「○○の一つ覚え」みたいで気が引けますが、現在の日本で使われている活字のデザインや、手書き文字のお手本のもとになったのはこの表なのですから、致し方ありません。
「都」の問題の部分がくっついているのは、おそらく、単なるスペースの問題かと思われます。「者」の場合に比べて左右の幅を狭く書かなくてはならないため、自然とくっついてしまうのでしょう。そう考えると、「者」の1画目と4画目の位置関係は、それほど重大な問題ではないと思われます。どちらかを「間違い」と決めつける根拠はないのです。
ただし、どちらが「美しい」か、ということになると、話は違ってきます。漢字を書くとき、不必要に線が重なるとごちゃごちゃしてしまって、見にくい印象を与えてしまうことが少なくありません。この先生がおっしゃったことは、そういう意味で解釈しておくのがよいのではないでしょうか。

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